第62回定期演奏会 プログラム 曲目紹介
交響曲 第1番 ハ長調 Op. 21 (L .V. ベートーヴェン:1 7 7 0 ~ 1 8 2 7 )
17 9 2 年、師ハイドンの招きでウィーンに活動拠点を移したベートーヴェンは、当地でピアノ演奏家、新進作曲家として次第に名声を揚げ、楽界、 聴衆からも交響曲の発表を期待されていた。この曲は、自身が習得した作曲技法を結集し、満を持して1 8 0 0 年に発表した1曲目の交響曲である。 ウィーンで活躍したハイドンやモーツァルトなど先輩作曲家の成果を踏まえながらも、新たな時代を切り開く独自の作風を示した記念すべき 作品であるといえよう。全楽章を通して、属音ソ(ド)から主音のド(ファ)に導かれる動機主題あるいはその変形が使われ、交響曲としての形式的 統一性が貫かれている。
第1楽章 アダージョ モルトーアレグロ コン ブリオ ハ長調 序奏部アダージョは、当時としては異例の下属調の属七和音から始まり、管楽器による和声進行の後、ヴァイオリンのメロディーに導かれ主部 アレグロの直前でようやく主和音が鳴らされ、ハ長調のアレグロ主題に至る。第2 主題はオーボエとフルートによる掛け合いで進む。新進気鋭 の若手作曲家の自信みなぎる闊達な第1楽章。
第2 楽章 アンダンテ カンタービレ コンモート ヘ長調 ソナタ形式の緩徐楽章。冒頭はフーガ風に開始される。ウィーン古典派の優美な主題は、モーツァルトとの共通性を感じさせる。
第3楽章 メヌエット アレグロモルトエヴィヴァーチェ ハ長調 メヌエットと記されているが、後年自身によるメトロノーム表示では、1 小節を毎分1 2 0 回とされ、非常に速いテンポ設定であり、第2 交響曲以降 のスケルツォと同様の性格を持つ。( 第8 交響曲では、ハイドンのような古典的メヌエットに回帰している)
第4楽章 アダージョーアレグロ モルト エ ヴィヴァーチェ ハ長調 序奏部アダージョは、属音ソの全合奏によるf fユニゾンで始まリ、第1 ヴァイオリンによるP 弱奏のソに始まる音階が少しづづ長くなり、属七和音 のファでいったん終始(半終始)する。続いて、属音ソからの音階によるアウフタクトに導かれ主部アレグロの主題は朗らかにハ長調で歌われ、 シンコペーションのリズム感あふれる展開部など織り交ぜながら快活に全曲を締めくくる。
なお、今回の演奏はCl ive Brown編集によるブライトコップ新版の楽譜を使用しております。自筆譜などの一次資料が失われているため、初販楽譜 から慣習的に引き継がれ耳慣れたものとは異なる箇所( 第2 楽章途中の第1ヴァイオリンなど)もありますがご理解ください。
交響曲 第1番 変ロ長調 Op.38「春」 (R.シューマン:1810~1856年)
交響曲第1番「春」はシューマンがクララ・ヴィークと結婚した翌年(1841年)に書かれた曲。わずか2か月で書かれたにもかかわらず充実した内容は、シューマンの幸せな生活を連想させ、春の予感を感じる。作曲当初は下記の標題があったが、後に取り除かれた。
第1楽章「春の始まり」 第2楽章「夕べ」 第3楽章「楽しい遊び」 第4楽章「たけなわの春」
詩人アドルフ・ベトガーの作品の最終行「おお、変えよ、変えよ、お前の行く手を 谷間には春が萌えている」とという文章にインスピレーションを感じて作ったと言われている。
第1楽章 アンダンテ・ウン・ポコ・マエストーソーアレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ 変ロ長調
春を告げるように序奏はじめにトランペットとホルンがファンファーレ風な動機を示し、その後、エネルギーに満ちたクレッシェンドを経て主部のソナタ形式に入る。
第2楽章 ラルゲット 変ホ長調 ‒ attaca
第1楽章のコーダから派生した長い主題が弦によって奏でられる。やがて出てくるトロンボーンの三重奏は、第3楽章の主題を暗示していし、そのまま休みなく第3楽章に入る。
第3楽章 スケルツォ・モルトヴィヴァーチェ ニ短調
2つの中間部を持つスケルツォ。短調で情熱的に始まる。続く木管のメロディーは、シューマンらしく優美で春を連想させる。
第4楽章 ファイナル・アレグロ・アニマート・グラジオーソ 変ロ長調
第1楽章冒頭を彷彿させる全合奏による序奏で始まる。その後登場する第1主題も第1楽章と関係している。第2主題は2つの部分からなり、前半はピアノ曲集「クライスレリアーナ」の終曲から採られている。
