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第64回定期演奏会 プログラム 曲目紹介 
『キプロスの女王ロザムンデ』D797 序曲 作品26(F.シューベルト:1797~1828年)

 『キプロスの女王 ロザムンデ』(Rosamunde, Prin zessin von Zypern)序曲は同名の劇のために作曲した劇付随音楽の序曲である。初演までの2か月足らずの短い期間で、10曲からなる付随音楽を完成させたが、序曲だけが間に合わず、その前年に作曲された歌劇『アルフォンソとエストレッラ』D 732の序曲を転用した。その後、(何者かにより)劇付随音楽『魔法の竪琴』D64 4の序曲が『ロザムンデ』の序曲として転用され、これが今日まで伝えられ演奏される『ロザムンデ』序曲である。本来の劇自体は、2 度上演されただけで打ち切りとなり、シューベルトの音楽だけが今日に伝えられている。序曲には竪琴を表すハープこそ出てこないものの『魔法の竪琴』の筋書きに則した内容となっている。冒頭の3つの和音は「魔法」を暗示するライトモチーフとして劇中随所で使われる。モーツァルトの『魔笛』にも通ずるライトモチーフである。アレグロ主題は森の狩りのシーンに由来し、馬を駆る軽快なリズムも聞き取れる。また、序奏部の木管の旋律と6 /8 拍子コーダの大部分は(当時流行のロッシーニ風)『イタリア風序曲D 5 9 0 』と同じである。

ハイドンの主題による変奏曲 作品56a(J .ブラームス:18 3 3 ~18 97 年)

 『ハイドンの主題による変奏曲』(Variationen über ein Thema von Haydn)は、ブラームスが1873 年に作曲した変奏曲。『ハイドン変奏曲』の略称や、『聖アントニウスのコラールによる変奏曲』の別称でも親しまれている。オーケストラ仲間内では『ハイバリ』と言ったりもする。先に2 台ピアノ版( 作品5 6 b )、次に管弦楽版( 作品5 6 a )が完成した。

 ブラームスは1 8 7 0 年に、友人でウィーン楽友協会の司書、カール・フェルディナント・ポールから、当時はハイドン作とされていた『ディヴェルティメントHob.I I.4 6』の写譜を示された。その第2 楽章は『聖アントニウスのコラール』と題されていた。ブラームスが変奏曲の主題に用いたの

がこれである。近年の研究によって、ディヴェルティメントそのものがハイドン作でないか(イグナツ・プライエル作という説がある)、ディヴェルティメントがハイドン作であっても主題であるコーラルはハイドン作のものではなく、古くからある賛美歌の旋律を引用したものと考えられてい

るため、最近は『聖アントニウスのコラールによる変奏曲』と呼ぶ向きも見られるが、一般には『ハイドン変奏曲』との呼称が定着している。

 この主題と8 つの変奏曲、および終曲とで構成され各曲は続けて演奏される。終曲はそれ自体がバッソ・オスティナートによる一種の変奏曲である。コラール主題を引き継いだ5小節単位のパッサカリア主題は1 9回変奏され、クライマックスでコラール主題が再呈示される。この古来からの

パッサカリア形式は、後年作曲者の管弦楽集大成となる交響曲第4 番終楽章でも用いた変奏曲形式(シャコンヌとも)であり、興味深いものがある。

交響曲 第3番 ヘ長調 作品90 (J.ブラームス:1833~1897年)

 1883年5月からブラームスはドイツの温泉地ヴィースバーデンに滞在、その地で第3交響曲は作曲された。ブラームス50歳の時である。ヴィースバーデン滞在での若いアルト歌手ヘルミーネ・シュピースへの恋愛感情がこの曲には反映されているとも言われ、特にロマンチックな第3楽章はサガンの小説『ブラームスはお好き』を映画化した『さよならをもう一度』中で使用されている。

第1楽章は、管楽器のモットーF-A♭-F “Frei aber froh”(自由だが喜ばしく)で勇壮に始まるが、ヘ長調の明るさと同時にヘ短調の陰りも聞くものに与える。この明暗両面の感情は全楽章に通じてのものでもある。この第1主題には師とも仰ぐシューマンの交響曲第3番第1楽章との関連も見いだされる。優美な印象の第2主題はイ長調でクラリネットで奏される。情熱的に展開部が繰り広げられ、静まるとホルンのモットーに基づく旋律が提示され、再現部に入り、コーダでは第1主題が消え入るように奏されて終わる。

第2楽章は、アンダンテの第1主題はクラリネットとファゴットにより奏される。温泉地ヴィースバーデンを逍遥するブラームスを彷彿とさせるようなひなびた、かつのどかな旋律。第2主題もクラリネットとファゴットによるが、コラール風の素朴なメロディである。第4楽章でもたびたび出現

するが、その時の印象はまた違ったものである。

第3楽章はチェロによるロマンチックな主題。ヴァイオリンなど、各楽器に引き継がれ歌われるが、ホルンによる再現部は印象的である。

第4楽章はファゴットと弦によるヘ短調の不安げな主題に始まるが、半音程を上下する動機は第2交響曲の主要動機にも通じる。トロンボーンに導かれ、第2楽章のコラール風動機が奏され直後に、音楽は激しくなり情熱的にすすむ。第2主題はチェロとホルンによる三連符を用いた活動的なハ長調の主題。展開部(兼再現部)では第1主題が展開され、かつコラール風動機が強奏で繰り返される。コーダではモットーが現れ、コラール風の動機が穏やかに示される。最後には第1楽章第1主題が回想され、静かに曲を閉じる。

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