第63回定期演奏会 プログラム 曲目紹介
交響曲 第1番 ト短調 作品13 「冬の日の幻想(P.I .チャイコフスキー:18 4 0 ~18 9 3 年)
交響曲第1番ト短調『冬の日の幻想』(ロシア語:Зимние грезы)は、26歳のチャイコフスキー(1840-18 93) が発表した最初の交響曲で、1 8 6 6 年に作曲された。親しみやすい曲想と魅力的な旋律で比較的よく知られる。広大な雪原のパノラマと、ロシア民謡の美しい音楽性、2 つの美しさをあわせ持つ美しさが結実した名曲であり、さわやかな初期の交響曲といったところである。1 8 6 8 年の全曲初演は大成功し、曲はニコライ・ルビンシテインに献呈された。チャイコフスキーは1 8 74 年にこの曲を改訂しており(第3 稿)、今日ではこの稿が演奏される。
第1楽章「冬の旅の幻想」 ソナタ形式。「冬の旅の幻想」と標題が付けられている。フルートとファゴットが民謡風な第1主題、第2主題も民謡風でありクラリネットで明るく出る。
第2楽章「陰気な土地、霧の土地」 序奏を伴うロンド形式。1 8 6 6 年にチャイコフスキーが訪れたラドガ湖の印象ともいわれる。主要主題は序曲『雷雨』作品7 6 の中でも使用されている。副主題は主要主題の素材を用いた軽いエピソード的なもの。
第3楽章 三部形式(スケルツォ)。主部は弱音主体で夢幻的な雰囲気をもつ。中間部では、ヴァイオリンとチェロがワルツ風に歌い、木管とホルンがこれに絡む。主部が再現し、コーダでは、やがてチェロとヴィオラが独奏でカデンツァ風に奏して歯切れよく終わる。
第4楽章 序奏付きのソナタ形式。序奏では、ファゴットが暗い動機を断片的に出し、これをヴァイオリンが受け取って、哀愁を湛えた旋律を歌う。これは、南ロシア・カザン地方の民謡「咲け、小さな花」に基づいており、この楽章で大きな役割を果たす。この動機を繰り返しながら長調に転じてアレグロ・モデラートに速度を上げていく。第1主題が金管を伴って快活で華やかに出される。第2主題はロ短調で序奏主題を行進曲調にしたもので、ヴィオラとファゴットによる。展開部を経て再現部へ入り、序奏主題( 第2 主題) が全管弦楽で高らかに奏され、圧倒的なクライマックスを形成してゆき、ピウ・アニマートで・さらに力と熱を加え、全合奏で壮麗に締めくくる。
交響曲 第2番 ニ長調 作品43 (J.シベリウス:1865~1957年)
「交響曲第2番」は「クレルヴォ交響曲」(1892),「交響曲第1番」「フィンランディア」(1899)等で「フィンランドの作曲家」として名声を高めたシベ リウス(1865-1957)が1901年に作曲、1902年に自身の指揮で初演された、彼の代表作の1つである。シベリウスの7曲(「クレルヴォ交響曲」を含めると8曲)の交響曲中、最もポピュラーな作品である。
第1楽章 ソナタ形式。湖のさざ波、あるいは樹々の梢を揺らす風を彷彿させる弦楽器の動機に導かれ、木管楽器が民謡風の第1主題を奏で、ホルンの牧歌的な響きが受け継ぐ。超自然的なものを彷彿させるような印象的な第2主題や跳躍音程の動機が、ソロ楽器の弱奏や全合奏による大ユニゾーン等、展開部で形を変えてたびたび繰り返され盛り上がってゆく。やがてそれらは金管楽器群の強奏によるファンファーレ風のクライマック スによって安定を迎える。冒頭の民謡風のメロディーが再現され、今までの要素も再現され盛り上がりを呈した後、穏やかに楽章を閉じる。
第2楽章 A-B-A-B-コーダ。作曲者のイタリア旅行での印象が、第2楽章に反映されているという。低弦のピツィカートの三連音符の上でファ ゴットが奏でる重々しい主題は、「ドン・ファンの死(彼が招いた騎士長の石像によってもたらされた)」を意味すると、同じ旋律を用いた別の曲のスケッチに作曲者自身が書き添えている。(筆者注:ドン・ファンはスペインの話)新たな旋律や、リズミカルな動機も加わり発展してゆき金管楽器に よるコラール風のクライマックスを迎える。続いての弦合奏による静かな主題は、「キリスト」を象徴し、ダンテの「神曲」からのインスピレーション とも解釈されている。これら2つの主題を中心に楽曲が大規模に展開した後、最初の主題がトランペットとフルートにより再現され、金管楽器によ るコラール風のクライマックスも再現され、第2主題も楽器を変えて再現され、コーダを迎え全合奏となり終わる。
第3楽章 スケルツォ - トリオ - スケルツォ - トリオ - コーダ。弦合奏の弱奏に始まるスケルツォは、荒々しいリズミカルなモチーフを嵐のように繰り 返しながら盛り上がるが、驟雨(しゅうう)がやむように一旦終止する。雲間から射す光の中でのようにオーボエがリードする中間部は牧歌風に進 むが、またもやスケルツォが金管楽器により唐突に驟雨のように再開される。ふたたび中間部が再現されるが、繰り返されるにしたがって盛り上 がってゆき、そのまま第4楽章に突入する。
第4楽章 ソナタ形式。フィナーレは弦楽器の力強いモチーフにトランペットが勇壮に応える第1主題で始まる。壮麗に盛り上がった後、木管による 経過句を経て徐々に静かになり、木管楽器が民謡風の第2主題を互いに呼び交わして行く。これが発展して、金管による提示部の頂点を迎える。 展開部は次第に高揚してゆき、第1主題の再現に入る。第2主題部は提示部に比べて遥かに長大で大きなクライマックスを形成する。終結部ではト ランペット、トロンボーンを中心に朗々と第1主題による讃歌を奏で、全曲の幕を閉じる。
