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第67回定期演奏会 プログラム 曲目紹介 
交響詩「フィンランディア」作品26 (1899年 作曲) シベリウス

 シベリウスの作品の中でもっとも知名度が高い人気曲の一つである。1899年に作曲され、1900年に改訂された。 本日のメイン・プログラムである交響曲第1番と同

時期に作曲された。 

 『フィンランディア』が作曲された1899年当時、フィンランド大公国は帝政ロシアの圧政に苦しめられており、独立運動が起こっていた。シベリウスが作曲した当初の

曲名は「フィンランドは目覚める」( Suomi herää) で、フィンランドへの愛国心を沸き起こすとして、帝政ロシア政府がこの曲を演奏禁止処分にしたということである。

 序奏部冒頭の、ティンパニや金管楽器等の咆哮による強奏、続いての木管楽器の旋律が帝政ロシアの圧政に苦しめらるフィンランド人の心情を表現しているよう

である。続く、アレグロ・モデラートでは闘争的な激しい描写がされるが、主部アレグロでは快活な長調のメロディーが謳歌される。中間部では讃美歌調の旋律が木

管楽器により穏やかに奏される。この旋律は1941年に詩人のヴェイッコ・アンテロ・コスケンニエミによって歌詞がつけられ、シベリウス本人により合唱用に編曲され、

「フィンランディア賛歌」としてフィンランドでは現在も国歌に次ぐ第二の愛国歌として広く歌われている。快活な主部が再現され、勝利感に満ちた中で曲は幕を閉じる。

なお、交響詩「フィンランディア」も次に解説するカレリアの原風景から、その着想を得たものだといわれている。

『カレリア』序曲 作品10 (1893年作曲)、組曲 作品11 (1893年作曲) シベリウス

 1892年、シベリウスはフィンランド人の心のふるさとともいえる風光明媚なカレリア地方に新婚旅行で訪れ、その折に触れた民族音楽などに大いに作曲のインスピ

レーションを受けた。翌年、カレリア地方出身の学生協会から、民族叙事詩『カレワラ』に基づく愛国的な歴史舞台劇「カレリア」の劇付随音楽の作曲を依頼された。本来

の劇音楽としては序曲と全8景からなるカレリアの歴史劇用の伴奏音楽ものだが、最終的に現在の形、すなわち「序曲」と3曲からなる「組曲」として今日に至っている。

 『カレリア』序曲 作品10

 組曲と比較して演奏の機会は少ないが、カレリア地方の生き生きとした人々の姿や、雄大な自然の情景を色濃く感じる事が出来る素晴らしい名曲である。

 中間部に組曲の第1曲「間奏曲」と共通の主題が現れる。

 『カレリア』組曲 作品11

 3曲から構成される。シベリウスの管弦楽曲のうち比較的よく演奏される作品で、第3曲「行進曲風に」は単独で演奏されることも多い。

 第1曲「間奏曲」 劇の第3景、14世紀、リトアニアの王女がカレリアの住民から税を取り立てていた時代の場面の音楽。奥深く優美な雰囲気の主題が繰り返される。

 第2曲「バラード」 劇の第4景、15世紀のヴィープリ城内で吟遊詩人が歌う場面の音楽。後半のコーラングレのソロが有名だが、この旋律は原曲ではバリトン独唱と

         ホルンが担当した。

 第3曲「行進曲風に(アラ・マルチャ)」 劇の第5景、16世紀の場面の音楽。2つの主題からなる明るく親しみやすい行進曲。

交響曲第1番 ホ短調 作品39 (1899年作曲) シベリウス

 「フィンランディア」の項でもふれたように、この曲が作曲された1899年当時、フィンランド大公国は帝政ロシアの圧政に苦しめられており、独立運動が起こっていた。

 第1楽章 序奏部、冒頭ティンパニのトレモロに導かれ始まるクラリネットのソロはロシア圧政下のフィンランド国民の嘆きを表すかのように始まり、やがて諦観に消え ゆくように終わるが、4分の6拍子アレグロの主部に引き継がれ、一条の光が刺したような第2バイオリンの長調トレモロが始まるなか、弦楽器群が希望を込めた力強い 主題を奏でる。展開部では、湖の底から湧き上がるような伴奏が繰り返される上を、様々な旋律が奏でられる。後半では低弦の上昇半音階と管楽器を中心とした下 降半音階のモチーフが繰り返され、まるで冬の「気嵐」のように立ち上るがやがて消え、提示部で示された希望溢れる旋律の後半部が回帰して再現部へとつなが る。終局部へ向かって、盛り上がりを見せるが低音楽器の持続音ののち、ピチカートで曲を締めくくる。

 第2楽章は弦楽器による子守歌のような穏やかな旋律で始まる。続いてファゴットのメロディが各木管楽器にフガート風にリレーされ盛り上がると、最初の旋律のリ ズム形から発展した新たな旋律が決然とした意志を表現し始める。落ち着きを取り戻すと、中間部では、穏やかなホルンのメロディが流れお花畑に鳥や蝶が飛び交 うような幻想的な場面となるが、急に激しくなり、そして沈黙する。再び冒頭の旋律が現れるが、今度は木枯らしのような不穏な空気が漂い激しい音楽が繰り広げら れる。やがて、それも静まり再び子守歌のような穏やかな旋律が戻り、静かに音楽は閉じられる。

 第3楽章は、速い3拍子によるスケルツォ舞曲。民族的で荒々しい印象をうける。ティンパニのフォルテに代表されるタン・タン・タン・タタ・タッ・タンというリズムが印象 的。これがいろいろな楽器で繰り返される。余談ながら小生は、ずっと以前にTV放映された無声映画時代のチャンバラ映画にこの曲が使われていたのをふと思い 出した。テンポを落とした中間部では、ホルンが奏でる牧歌的旋律を各楽器間でやり取りする。チューバの1拍で冒頭のスケルツォが再び繰り返され楽曲は終わる。

 第4楽章は、第1楽章冒頭の旋律が、弦楽器のユニゾンによる強奏で再現され、口上のごとく始まる。第1楽章冒頭楽章ではクラリネットによるほの暗い雰囲気の主 題が、終楽章で弦楽器のユニゾンによる強奏で再現される手法など、チィコフスキーの交響曲第5番を意識していなかったとは言えないだろう。速い2拍子の主部は、 シンコペーションのリズムが強調された不安げな第1主題が各楽器に次々と現れ打楽器群も加わり激しくなり、やがてバイオリンの下降音形で一段落する。アンダン テ・アッサイの第2主題がヴァイオリンのユニゾンで切々と歌われ、木管楽器,金管楽器へと引き継がれ盛り上がりを見せるが、アレグロ・モルトに戻って第1主題による 展開部に入る。 引き続く再現部では手短に第1主題を再現した後、再びアンダンテとなり第2主題の再現が行われる。曲はそのまま拡大を続けクライマックスを築き上げる。その後fff で第1主題によるコーダとなるが、最後は急速に減衰しpのピツィカートで曲を閉じる。

 楽器編成の特徴として、ハープが多用され、曲に華やかさを加えていることがあげられよう。シベリウスの交響曲全7曲のうちでハープが採用されているのはこの第1 番と他には第6番のみである。

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